緊急事態宣言が出て以来、外出する時には、必ずマスクをすることが、自分の中ではすっかり習慣になってきていた。
忘れてしまうと仕事ができないため、車のダッシュボードには、いつもマスクのスペアを積んである。
ところが、夏が近づき、だんだんマスクの暑さが辛くなってきた。
マスクの使用が必須になった、初めての夏。
日本の湿気と合わせて、想定以上の暑さで、ついに「2m以内の範囲に人がいない時は、マスクを外して熱中症に気をつけましょう」と言われ出した。
私も最近では、ウォーキングの時や、自転車に乗る時で、周囲に人がいない時は、マスクを外していることが多くなった。
先日、仕事が休みの昼下がり、近所のスーパーまで、運動不足解消も兼ねて、自転車で出かけた。
全体の道のりの3分の2ほど進んだところで不意に、マスクを持ってくるのを忘れたことに気がついた。
自転車に乗っている間はマスクを付けないが、スーパーに着いたら、マスクを付けるつもりだったのに。
今までだったら、諦めて取りに帰っていただろう。
けれど、その日は暑かった。
それに、平日の昼下がり。
かなり広いスーパーだし、ちゃっちゃと買い物をすれば、大丈夫だろう…
と判断して、そのままスーパーに向かって、自転車を漕ぎ続けた。
外出する時はいつも、自分はマスクを付けている。
そんな視点から見ると、付けていない人がとても気になる。
付けていないのは、中高年の男性が多いような気がする…とか
学生は、集団になると付けない子が多い、やっぱり周りに引きずられるお年頃なんだろうか?…とか
メイクをばっちりしている若い女の子は、マスクをしていないな…せっかく化粧をしたから、隠したくないのかな?…とか
いつも
いろんなことを、ちょっと上から目線で観察していた(全く余計なお世話である💧)。
だから、マスクをしていない人も多いだろう…と嵩をくくっていた。
スーパーに到着し、自転車を停め、店内に入る。
カゴを整理している人・ゴミを集めている人…店員さんは当然、マスクを付けている。
わかってはいるが、少し気が引けて、俯きがちに入っていく。
人がいない方の棚から、順番に見ていく。
お目当ての商品を探しながらも、何だか視線は、マスクをしていない人を探してしまう。
あっ、おじいちゃんがいる。
でも、あの人もちゃんとマスクをしている。
おばあちゃんと一緒に来ているからかな…
「マスクしなさいよ」と言われたのかな…。
買い物に来ている主婦の人も、みんなマスクしている。
あそこにいるおばあさんも…。
平日だから、子どもや学生もいない。
どうやら、マスクをしていないのは、私だけみたいだ。
ますます俯きがちになる…。
早く店を出ようとするのに、こういう時に限って、セルフレジでも引っ掛かって、店員さんが来てくれる。
マスクをしていない私にも、ちゃんと対応してくれる。
結局、逃げるように店を出た。
多分、誰も私のことなんか気にしていないだろう。
店内も空いているし、何かを話すわけでも、咳をするわけでもない。
ただ、私の気持ちがとがめているだけだ。
いつもと違ってマスクを忘れたというだけで、自分の見える景色が変わってくる。
結局人間は、自分の見たいものを見ているだけで、その部分だけ見て、理解したつもりになっているだけだ。
立場が変われば、見える景色も変わる。
そんな、小学生の道徳の授業で教えてもらうような内容を身を持って痛感した日だった。
マスクを忘れる…という初歩的なミスをしてしまった日だったが、
大切なことに気づけた、アラフィフのある日の物語。
※コロナ禍で、外出の自由が奪われる中で、他人に対して寛容な気持ちが少しずつ失われている気がしていましたが…
実は、他人ごとではなく、何より自分が、そうであることに気づきました(;´Д`)
「自分は決められたことを、ちゃんとやっている」…
そう思い込むと、それができない人に対して、非寛容になります。
確かに、やれば出来るのに、マイルールで行動し、わざとしていないだけの人もいるのかもしれません。
ですが、中には、悪気なく忘れてしまったり、何らかの事情でマスクが手に入らなかったり…
おのおのの理由があるのでしょう。
できない人がダメ…
なのではなく、どうしてできないのか、どんな理由によるのか…
たとえ、どんな状況になっても、
相手の立場になって考える想像力を失ってはいけない…と感じた一日でした💦
最後までお読みいただきありがとうございました<(_ _)>